黒後家蜘蛛の会 書評
the Black Widowers
アイザック・アシモフ
大作家アイザック・アシモフが生み出した安楽椅子探偵(アームチェアーディテクティブ)のシリーズです。
黒後家蜘蛛の会という謎解きグループの会合がミラノのレストランで開かれ、会員同士が議論を戦わせるのですが、いつも最後は執事のヘンリーが出しゃばらずに、しかしスマートに真相を暴くというフォーマット(例外もありますが)の短編集です。
殺人事件も滅多に怒らず、日常の謎に近いような内容が多いので、激しい描写や怖い描写が苦手な人にもお勧めできます。
時代背景柄、わかりにくいところもなくはないですが、そこは大家アシモフのストーリーテラーとしての筆力で最後まで読ませてくれます。
本作の特徴は何と言っても執事のヘンリーの存在かと思います。先でも述べましたが、他の会員が「あーでもない、こーでもない」と延々と議論を重ねていく中で、探偵役がスパッと最後に締めるというカタルシスの気持ちよさと言えると思います。
短編のため、初心者にも入りやすく、古典としては読みやすい方なので、ミステリミステリしている殺人事件ばっかりは嫌だ、っていう方は是非ご一読を。