コズミック 清涼院流水 書評
コズミック 清涼院流水 講談社文庫
とんでもない問題作という紹介がこの作品にはふさわしいと思います。
お酒を初心者にお勧めする時に、いきなりバーボンを飲ませるような、という表現が正しいかはわかりませんが、まさに劇薬のような作品です。
美しすぎて目を見ただけで相手を失神させてしまう名探偵、100%の確率で推理を必ず外す名探偵、消去法を駆使する名探偵などなど。
様々な名探偵が集結し、密室卿という一大犯罪者が繰り出す大量不可能密室事件に挑むストーリーになります。
発売された当時、サイコロ本と揶揄される極厚の本が隆盛を極めておりました。とにかく分量が多い。読み切るまでにとんでもない労力がかかる作品が多かったのです。
その中でメフィスト賞を受賞し、世に出たこの作品は、不可思議な謎、魅力的なキャラクター群、とんでもないラストと全ての要素が揃っているかのように見える作品です。
ただ、ご注意いただきたいのは、「とんでもないラスト」という点です。
ネタバレを極力排除しているこのサイトでは、表現が難しいのですが、とにかく「犯人を当てられる人間は存在するのか」と読んだ時に思った次第です。
身も蓋もない言い方をすれば「爆笑して、そんな終わり方があるのか」か「こんだけ長い時間かけてオチがそれか!」の2パターンに綺麗に分かれる作品になります。どんでん返しとかいうそんな程度のレベルではありません。
ですので、初心者要注意の作品の筆頭になります。
もしかして、これを初めてのミステリー体験に選ぶと二度と読まないか、正常にミステリーが楽しめなくなる可能性すらあると思っています。
そもそも初心者が最後まで読み切れる分量ではありませんけれども。。。
しかし、私にとってはこの作品が忘れられない強烈な作品で、是非時間がある方は自爆覚悟で触れてみるのはいかがでしょうか。
ハマると抜け出せなくなる筆者の世界は凄いの一言です。
ご検討ください。