アクロイド殺し 書評

原題:The Murder of Roger Ackroyd

アガサ・クリスティ

 名探偵エルキュール・ポアロシリーズの一作ですが、それよりも最後のオチが伝説になっている超有名作品です。クリスティの作品の多くはそうですが、ネタバレを踏まずに辿り着くのにとにかく苦労する、それほど有名な作品です。ちなみに、ウィキペディアにすらネタバレがあるので、回避するのは至難の業です。

 ミステリ界で長く議論を呼んできたトリックで、もちろん最後まで読めば理由はわかりますが、良くも悪くも物議を醸しだし、人によってはこんなのミステリーじゃない!となりうる作品でもあります。

 トリックは後進の作品でも類似は見られますが、やはり最初に有名になったという意味ではパイオニアとしての評価は妥当でしょう。

 読みやすいかといえば、現代小説に比べれば当然厳しめではあります(古典の多くはそうですが)。ただ、当時、これをいきなり読んだ読者はどれだけ驚いたのだろうということを考えるだけで、ミステリー好きとしてはとても羨ましい気分になれます。

 時代背景も含めて、楽しめるそんな作品でもありますので、当時自分が生きていたらアリナシどちらの立場なのかを考えながら読むと楽しいです。

是非、ご一読を。

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