グリーン家殺人事件 書評
The Greene Murder Case
ヴァン・ダイン
古典作家の中でも大家であるヴァンダインの作品から、グリーン家殺人事件をご紹介致します。
変人揃いの登場人物、不気味な舞台、ドロドロした人間関係、そして変わり者の名探偵。後の推理小説のフォーマットともいうべき要素が全て含まれている教科書的な作品ではないでしょうか。
古い作品であるがゆえに、翻訳もものによっては普段本を読まない人には厳しいかもしれませんが、内容はやはり一読に値します。翻訳もですが、名探偵ファイロ・ヴァンスの言い回しも独特で読み手を選ぶかもしれません。
ミステリーの古典でヴァン・ダインを読む際に、本作と僧正殺人事件の2つが候補に挙がることが多いのですが、個人的にはこちらの方が読みやすいのかなと思っています。
これもまた古典あるあるで、どうしても今のミステリー読者からすると「え?それはさすがに」や「うーん、ここはどうなのかなあ」というのは少なからずありますが、それはどんな作品にも多かれ少なかれありますので、それも許容して世界観に浸るのもまた古典ミステリーを読む醍醐味ではないでしょうか。
是非、ご一読を。