ブラウン神父の童心 書評

The Innocence of Father Brown

G.K.チェスタトン

 ホームズ、ポアロ、クイーン等々。黄金世代の名探偵と肩を並べるブラウン神父シリーズの第一作です。探偵役のブラウンはその名の通り、キリスト教の神父。鋭い洞察と時に見せる慈悲深い態度が一番の特徴です。

 今作は短編集で、全12編収録されていますが、いずれも粒ぞろいの名作です。現代の読者にとっては、ひねりの無いストレートなトリック(表現が難しいですが、何度も何度もどんでん返しが起こるようなものではない)で、物足りないと感じる方がいないわけではないとは思います。また翻訳によっては文字のサイズの小ささや翻訳者のクセから、初心者の方には読みにくいモノの実はあったりします。

 ですが、全編総じてレベルは高く、魅力的な謎が用意されており、ぎゅっと凝縮されたようなイメージの作品が多いです。

 短編集ですので、初めての方でも入りやすく、古典ミステリの短編集をお探しの方にはお勧めできる作品です。

是非、ご一読を。

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