印刷物とデジタル媒体の色の違い
印刷物とデジタル媒体の色の違い:知っておきたい基礎知識
「デザインデータをお送りしましたが、印刷すると色が全然違って見えます」「チラシとウェブサイトで同じ会社の色なのに、まったく違う印象です」
このような経験はございませんか?実は、これは決して印刷ミスでもデザインミスでもありません。
デジタル画面と印刷物では、色の表現方法そのものが異なるのです。
今回は、デザイナーの立場から、この色の違いについて分かりやすく解説させていただきます。
なぜ画面と印刷物で色が違って見えるの?
私たちが普段目にする色には、大きく分けて2種類あります。
スマートフォンやパソコンの画面で見る色(RGB)と、紙に印刷された色(CMYK)です。
画面の色は、光で表現されています。スマートフォンの画面を虫眼鏡で覗いてみると、赤、緑、青の小さな光の点が見えるはずです。
この3色の光を様々な強さで組み合わせることで、美しい色が表現されているのです。
一方、印刷物の色はインクで表現されます。カラー印刷では、水色(シアン)、ピンク(マゼンタ)、黄色、そして黒の4色のインクを使います。
雑誌の写真部分を虫眼鏡で見ると、これらの色の小さな点が規則正しく並んでいるのが分かります。
実際のデザイン制作ではどう違うの?
分かりやすい例を挙げてみましょう。
例えば、会社のロゴに鮮やかな青色を使用したとします。ウェブサイトでは光の特性を活かした美しい青色が表現できます。
しかし、この青色をそのまま名刺やパンフレットに印刷すると、少し暗めの落ち着いた色になってしまうことがあります。
これは、光で表現できる色の範囲と、インクで表現できる色の範囲が異なるためです。
特に、画面上で表現できる鮮やかな色は、印刷では完全に再現できないことが多いのです。
デザイナーはどのように対応しているの?
プロのデザイナーは、この色の違いを前提に制作を行っています。例えば、以下のような工夫をしています:
- 最終的な使用方法に合わせた色選び
画面だけで使用するデザインか、印刷物として使用するのか、あるいはその両方なのかによって、最適な色を選択します。
事前に制作前に使用用途をお伺いするのはこのためです。 - クライアント様への丁寧な説明
デザインデータをお渡しする際は、画面と印刷物での色の違いについても説明させていただきます。
クライアント様へのアドバイス
デザインを依頼される際は、以下の点をデザイナーとご相談いただくことをお勧めします:
- デザインデータの使用目的(印刷物かデジタルか、または両方か)
- 特に重視したい色(企業カラーなど)
- 印刷物の種類(名刺、パンフレット、看板など)
これらの情報を事前に共有いただくことで、最適な色選びが可能になります。
最後に
色の違いは、技術的な制約によるものです。
しかし、この特性を理解し、適切に対応することで、印刷物でもデジタルでも魅力的なデザインを実現することができます。
ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
印刷物とデジタル、それぞれの特性を活かした効果的なデザインをご提案させていただきます。
【コラム:色校正(プルーフ)について】
重要な印刷物の場合、実際の印刷を行う前に「色校正」と呼ばれる確認用の印刷を行うことをお勧めします。
これにより、仕上がりのイメージを事前に確認することができます。特に、企業カラーの正確な再現が求められる場合など、色の確認が重要な案件では、ぜひご検討ください。